8月9日、第23回循環器看護学会学術集会にて、自治医科大学データサイエンスセンター所属の齋藤知佳さまが、
「心不全患者におけるPersonal Health Record(PHR)データ登録率向上に向けた操作再説明介入の効果検証」の演題でご発表をされました。
齋藤さまはSIPA2で、自治医大本院の患者さまのデータ入力の支援などに日々ご尽力いただいております。
私たちの研究でも、他の入力支援の現場においても参考にさせていただきたいと思います。
以下に、内容を掲載いたします。
~学会抄録集より引用~
06-1 心不全患者における Personal Health Record (PHR) データ登録率向上に向けた操作再説明介入の効果検証
【目的】
Personal Health Record (PHR) を活用した心不全患者の見守りにおいて、高齢層のデジタルリテラシーや本人の意欲が活 用の障壁となることが予想される。本研究では、外来受診時に機器の操作方法を再説明する介入を行い、 PHR アプリケーショ ンの登録率向上に寄与するかを検証することを目的とした。
【方法】
所属施設の循環器内科を受診する心不全患者 50 名(男性38 名、女性12名、 平均 57.9±11.7 歳)を対象とし、外来受診 時に医師または看護師が PHR アプリケーションおよびデバイスの操作方法を再説明する介入を行い、介入前後各2週間の自覚 症状、血圧、体重の登録率の変化を分析した。 また、年齢帯や既往歴との関連についても検証した。 統計学的有意水準は p< 0.05 とした。
【倫理的配慮】
所属施設の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】
全指標(自覚症状: 平均 3.3%増、 p=0.3163、血圧: 平均 3.7%増、 p=0.3132、 体重: 平均 3.3% 増、 p=0.2579)において、 統計的な有意差は認められなかった。 登録率の分布はいずれも 0% 付近と 100% 付近に二極化しており、中間の数値を示す層 がほとんど存在しなかった。 介入前後の相関係数は0.83~0.88と極めて高く、初期の登録習慣が強く維持されていた。年齢層別、 性別、各種既往歴による検討でも、 登録率の変化量に有意な群間差は認められなかった。
【考察】
操作方法の教示を主とした限定的な介入のみでは、 登録行動の実質的な変化を促すことは困難であった。 登録率の二極 化と介入前後の高い相関は、既存の登録習慣が強固であり操作説明だけでは行動変容に至らない層が存在することを示唆して いる。特に登録率が極めて低い層においては、 デジタルリテラシー以外に、意欲の欠如や生活背景などの要因が障壁となって いる可能性がある。 今後は、 個々の登録状況に応じた個別性の高いフィードバックや、 多角的な支援アプローチが必要である。

